こんにちは!
行政書士事務所ビザハブの羽野(はの)です。
今回は、今年から本格的に開始される自動車運送分野のトラック事業における特定技能外国人の受入れについて解説します。
「人手不足で特定技能外国人の受入れを検討しているけどいまいち制度のことがわからない・・・」
「特定技能に運送業が追加されるのはニュースで見たけど、免許の切替方法や具体的にいつから始まるのかがわかならい・・・」
といったお悩みを抱えている人は多いのではないのでしょうか。
この記事を読めば、特定技能外国人の受入れまでのアクションにすぐに入れるようになるはずです。

この記事は以下のような人におすすめ!
・トラック運送業での特定技能外国人の受入れを検討している!
・制度の概要や受入れまでの流れを知りたい!
トラック運送事業では、以前から長時間労働、低賃金、高齢化などが問題視されてきました。そこでドライバーの労働環境の改善のため2024年4月から時間外労働上限規制が適用されました(いわゆる2024年問題)。
ドライバーの労働時間が短くなることで物が運べなくなるリスクが当然でてきますので、人手不足を解消する一つの対策として2024年3月に特定技能に自動車運送分野が追加されるかとが閣議決定されました。(その他、「鉄道」、「林業」、「木材産業」も追加)。
そこで、外国人に関連する申請を専門としてきた行政書士の立場から、特定技能のトラック運送事業についての要件・流れを説明します。
そもそも特定技能とはなにか?が知りたい方は別の記事をチェックしてみてください!
自動車運送業分野の特定技能の概要


特定技能は1号と2号に分かれていますが、自動車運送業分野は1号のみに追加されました。
(鉄道、林業、木材産業についても1号のみ)
そのため受入れできる期間はその他の特定技能1号と同じ最大5年となっています。
とはいえ、数年以内には2号にも追加されると思いますので、そうなれば5年以上の受入れも可能になってくるかと思います。
その他の待遇に関しても基本的には他の特定技能1号と同じです。
在留期間 | 最大5年 |
家族の帯同 | 不可 |
支援 | 受入れ機関又は登録支援機関による支援が必要 |
転職 | 可能 |
外国人側の要件について
トラック運送業で特定技能外国人が働くためには、外国人側が主に下記の3つの要件を満たしておく必要があります。
1.日本語能力試験の合格
従来の特定技能1号と同様に日本語能力試験(JLPT)N4以上又は日本語基礎テスト(JFT-Basic)に合格しておく必要があります。
2.技能試験の合格
雇用後に円滑に業務に入れるようにトラック運送業に特化した技能試験(特定技能評価試験)に合格しておく必要があります。開催場所や実施方法については後半で詳しく解説します。
3.第一種運転免許の取得
こちらは従来の特定技能にはなかった新たな要件になります。業務の性質上必ず運転することになるので、特定技能への切替前に必ず免許を取得しておく必要があります。
ただし中型や大型の免許まで取る必要はなく、まずは普通免許さえ取得できれば問題ありません。



ちなみに国際運転免許証のみを所有している外国人であっても、そのままでは運転業務に従事することはできません。
受入れ企業(所属機関)側の要件について
特定技能外国人を受入れようとする企業が満たしておく基準は主に下記の3つです。
1. 一般貨物自動車運送事業の許可を取得していること
いわゆる緑ナンバーの取得や運送車両を保有している事業者になります。
ちなみに、一般貨物自動車運送事業の許可を取得している事業者がその事業者が行っている貨物軽自動車運送事業に特定技能外国人を従事させることは可能ですが、貨物軽自動車運送事業のみを行っている事業者が特定技能外国人を受入れることはできません。
2. 「働きやすい職場認証制度」又は「Gマーク制度」を認証取得していること
事業者の取組の見える化や利用者が安全性の高い事業者を選びやすくすることなどを目的にした認証制度であり、トラック事業者であればどちらか一方を認証取得する必要があります。
3. 分野別の協議会に加入していること
運送事業に関わらず他の特定技能分野にもあるものですが、適切な運用を図るため各所管省庁が分野別に協議会を設置しております。
協議会の構成員には法務省や警察庁などの関係省庁や支援を実施する登録支援機関も含まれており、ここに受入れ機関も加入することになります。
技能試験について
特定技能1号外国人となるための技能試験の詳細は下記です。
受験資格 | ・試験実施日において、満17歳以上であること。 ・試験実施日において、日本又は海外で取得した有効な自動車運転免許を保有していること |
実施方法 | ・CBT試験 テストセンターでコンピュータを使用して実施 ・出張試験 受入れ事業者からの申請によりペーパーテスト方式で実施。 海外での実施は50枠以上、国内での実施は20枠以上で実施可能。 |
実施場所 | ・国内 ・海外 フィリピン、カンボジア、ネパールなどで調整ができた国から順次開始 |
受験料 | ・国内 5,000円(税抜) ・海外 37米ドル ※為替により変更する可能性あり |
海外にいる外国人は、入国前にこの技能試験と前述の日本語試験に合格してから来日することになります。
業務開始までの流れ
上記で解説した日本語テストや技能テスト、日本の免許取得をどのタイミングで実施するのか、実際に雇用するまでの具体的な流れを解説していきます。
全体の流れは下記の図のようになります。


試験の合格
まず、外国人が住んでいる国で特定技能評価試験と日本語試験(JLPT or JFT-Basic)を受験し、双方に合格する必要があります。
採用・雇用契約締結
採用が決まった外国人と雇用契約を締結します。日本に入国する前に雇用契約を締結する必要がある点は注意が必要です。
免許の取得
日本に入国してすぐに「特定技能1号」のビザが取得できるわけではなく、免許の取得をするための準備期間として「特定活動」のビザが付与されます。免許を取得する方法としては、主に下記の2つです。
1.外免切替
こちらは海外の免許を日本の免許に切り替えるという方法です。単に手続きをすれば切替ができるというわけではなく、学科試験や教習所で実際に走行して技能の確認をする技能テストもあります。
2.教習所に通う、免許合宿
日本人が通常免許を取得するときと同様の方法で取得することも可能です。
この期間も雇用契約を締結している状態ですので、企業側は外国人に給料を支給する必要があります。同時に、運転免許を要しない付随業務(例えば、荷下ろしや倉庫での運搬など)であれば従事させることが可能です。
また、可能であればこの期間に日本語の研修等を実施しておくこともお勧めします。
初任ドライバー研修・業務開始
日本の運転免許を取得したら晴れて「特定技能1号」のビザを取得することができます。5年間の期間はここから開始されます。単独業務を開始する前には日本人ドライバーと同様に研修を受講する必要があります。
まとめ
今回の記事では、トラック運送事業での特定技能外国人受入れの要件、流れについて解説しました。
ポイントをまとめますと、次の通りです。
- 物流業界の2024年問題の対策として、そして慢性的な人手不足を補うために2024年3月にあたらに特定技能に追加されました。従来からある特定技能の業種と同じく、在留期間は最大5年で、家族の帯同は不可、転職は可能、支援機関による支援は必要となっています。
これから特定技能外国人の雇用を検討している方は、すぐに採用活動に踏み出すことができるのではないでしょうか。
これから特定技能外国人の受入れを検討している方へ
行政書士事務所ビザハブは外国人に関わる申請を専門とした行政書士事務所です。
今回説明した特定技能についてももちろんサポートしております。
実際に受入れの手続きをするとなると入管に複数の書類を提出したり、現地の外国人と母国語や英語でやり取りしたりなど、かなり煩雑が業務が多いです。
少しでも疑問点があれば、行政書士事務所ビザハブまでお気軽にお問い合わせください。


行政書士 羽野悌慈
行政書士事務所ビザハブの代表行政書士
日本の企業が深刻な人手不足に直面していることを痛感し、大学卒業後に社内起業で外国人材事業を立ち上げる。
外国籍の方々にとって必要な在留資格(ビザ)は、個々の事情に応じて申請の難易度が高いケースが多く、この問題を自らの知識と経験で解決したいと考え、行政書士事務所を開業する。